エージェントにも人間にも読める知識バンドルを作る

ドキュメントを エージェントに読める形で整え、公開する Quarto テンプレートツールです。

LLM やエージェントに知識を読ませたいのに、検索がズレて回答がハズレる — それは文章が悪いのではなく、知識が「形式」に沿って整理されていないからです。

  • Why: 人間向けの文章のままでは、エージェントは概念の区切り・メタ情報・鮮度を正しく読めない
  • What: OKF(Open Knowledge Format)は知識を「1 概念 1 ファイル + フロントマター」に構造化する形式
  • How: .qmd を書くだけで、人間用 HTML と 機械用 OKF バンドル、さらにリンターチェックまでが同時に生まれる

まず読んでほしい

OKF や知識バンドルが初めての方は、この順で読んでください。

  1. 0. What is OKF — OKF・バンドル・用語の基礎(10 分)
  2. 1. Create a Bundle — 実際に作ってみる
  3. 2. Concept Types — 6 種の型の書き方
  4. 3. Deploy — 公開する
  5. OKF × RAG Synergy — なぜエージェントに効くのか

flowchart LR
    Q["concepts/*.qmd<br>書く(1 概念 1 ファイル)"] --> L["quarto render"]
    L --> H["_site/<br>人間用 HTML"]
    L --> O["okf/<br>機械用 OKF バンドル"]
    O --> V["validate-okf リンター<br>準拠 + 品質警告"]

Tipブラウザで試す

ローカル環境なしで OKF 概念ファイルを編集・コミットできます。Online Editor または Quarto Editor PE を開いてください。

  • エージェントにも人間にも読める .qmd をソースに
  • quarto use template 一発でバンドル雛形を生成
  • レンダリングで 人間用 HTML と 機械用 OKF バンドル を二系統出力
  • リンターツールとして準拠チェック + 鮮度・欠落の品質警告
  • GitHub Pages / Cloudflare Pages に並行デプロイ

OKF バンドルとは

エージェントにも人間にも読める形で、ドキュメント群をひとまとめにした知識パッケージです(知識バンドル = OKF バンドル、以下「OKF バンドル」)。 okf/ ディレクトリ(index.md / log.md / concepts/*.md)に機械可読な Markdown として自動生成され、 人間向けの HTML と 同じ source(.qmd) から同時に出力されます。

  • concept 単位で構造化 … API / Playbook / Metric / Attested Computation を 1 ファイル 1 概念で記述
  • frontmatter が辞書 … type・対象・作成日などのメタ情報を機械が解釈
  • sha 差分追跡 … バンドル全体の更新差分を機械が検知できる

OKF v0.2 と信頼信号

Open Knowledge Format v0.2 は、Google Cloud が 2026 年 7 月に公開した、AI エージェント間で知識を安全に共有・交換するためのオープン仕様です。v0.1 の「Markdown + YAML frontmatter」という最小構成を継承しつつ、v0.2 では 5 つの trust signal(信頼信号) を frontmatter に追加しました。

Note出典

本節の内容は Google Cloud Blog: “OKF v0.2 adds trust signals” に基づく整理です。

2 種類のバンドル

OKF では知識のまとまりを「知見バンドル」と「情報バンドル」の 2 つに区別します。

  • 知見バンドル(Curated Knowledge Bundle) — 人間やエージェントがキュレートした「知識」の集まり。Concept Documents(.md)+YAML frontmatter+Markdown body(Schema / Examples / Citations / Prose)+index.md / log.md で構成され、ここが okf-seedling の出力対象です
  • 情報バンドル(Information / Data Bundle) — キュレート前の「生データ」や外部情報源。Wiki / Confluence、BigQuery などの DB スキーマ、API 仕様書、生データ・ログ、ポリシー・標準規格を含みます

flowchart LR
    subgraph CURATED["知見バンドル<br>(Curated Knowledge Bundle)"]
        C["concepts/*.md<br>frontmatter + body"]
    end
    subgraph SIGNALS["OKF v0.2 Trust Signals<br>(信頼の層)"]
        S["sources / generated / verified<br>stale_after / status / attested"]
    end
    subgraph RAW["情報バンドル<br>(Information / Data Bundle)"]
        I["Wiki / DB スキーマ<br>API 仕様書 / ログ / 標準規格"]
    end
    C -- "references(参照)" --> I
    S -. "信頼性の証跡" .-> C

5 つの信頼信号

エージェント(知識の消費者)が知識を採用する前に判断すべき 5 つの問いです。

# 問い frontmatter フィールド
1 何から作られたか? sources(出典)
2 どれだけ信頼できるか? generated / verified(生成者・検証者)
3 まだ正しいか? stale_after(鮮度期限)
4 現在のバージョンか? status(draft → stable → deprecated)
5 正規の方法で計算されたか? Attested Computation(計算証明・レシート)

相関の本質

  • 知見バンドルは情報バンドルを 参照(references) する
  • OKF v0.2 の trust signals がその参照に 信頼性の証跡 を与える
  • 信頼性は「スコア」ではなく 観測可能な事実 として記録される
  • これにより、エージェントは本文を読む前に frontmatter だけで 採用/棄却の判断 ができる

Create

quarto use template watanabe3tipapa/okf-seedling で新しい知識バンドルを生成。バンドル生成の手順を見る

Author

6 種の concept 型(API / Playbook / Metric / Attested Computation)を type レジストリで拡張可能。concept 型ごとの書き方を見る

Deploy

GitHub Pages と Cloudflare Pages に並行デプロイ。frontmatter は HTML にも出力され、Playwright による知識蓄積にも対応。デプロイ手順を見る

OKF × RAG Synergy

OKF(Open Knowledge Format)と RAG は競合ではなく、OKF バンドルが RAG の精度を左右する RAG-ready な知識基盤になる補完関係です。実バンドル例でシナジーを分解します。詳細を読む

知識の頭出し(Peek)

カセットテープを再生位置の先頭に戻す「頭出し」のように、知識のいちばん頭をチラ見する体験です。「たしかこんな概念があったはず…」といううろ覚えの記憶に、title・description・鮮度チップ・本文の一行がフックして、「ああ、そうだった」から一歩進んだ 新しい気づき を取りに出します。

OKF バンドルは「1 概念 1 ファイル + frontmatter」なので、概念そのものが頭出しの単位になります。下のカードはこのサイト自身のバンドル(okf/concepts/*.md)から quarto render 時に自動生成しています。クリックで本文の頭が展開され、詳細ページへ飛べます。

Note任意の LP にも貼れます

このセクションはテンプレート同梱の tools/gen-peek.mjs が生成しており、quarto use template 派生のバンドルなら同じ手順で自分の LP に設置できます。1. Create a Bundle を参照してください。

Concept 型

Type 説明 選び方の目安
API Overview API 全体の概要(認証・バージョン・エラー) API の設計方針や全体像を説明したい(ここから読むのがおすすめ)
API Endpoint 1 エンドポイントの仕様 「GET /users」のような個別の API を 1 本ずつ定義したい
API Schema 入出力の型・JSON スキーマ リクエスト/レスポンスの形を正確に機械へ伝えたい
Playbook 手順書・対処手順 「エラーが起きたらどうするか」のような手順を構造化したい
Metric 指標の定義 計測値の定義・単元・鮮度を機械に解釈させたい
Attested Computation 検証可能な計算定義 計算ロジックを再実行可能な形で記録したい

Quick Start

最低限の手順でローカルにバンドルを作って検証します。前提条件は Quarto(≥ 1.4)と Node.js(≥ 18)のインストールです(Quarto 公式サイト を参照)。

ブラウザで試すなら、Online Editor で始める

Step 1. テンプレートから雛形を生成します

quarto use template watanabe3tipapa/okf-seedling

Step 2. 人間用 HTML と OKF バンドルを同時にレンダリングします

quarto render

Step 3. 準拠チェック + 品質警告を実行します

node tools/validate-okf.mjs